ソフィアは日本語で歌う(!)

ポーランド人のソフィア (13)は最初フルートを吹くと言うこと自体、かなり苦労してました。一つのことを習うのに人の二倍時間がかかりました。それだけでなく、ドイツ語は多少理解はできても、自分ではほとんど喋れない状態です。二人組のグループレッスンで始めたのですが、もう一人の女の子とも言葉を交わすことがまずありません。

音楽教室のフルートの先生

最初の何ヶ月のうちに生徒さん自身にあまり楽しんでいる様子が見受けられないこと、進歩が遅くて、練習しているような形跡もないときは、やんわりと「他の楽器の方が向いているかも」と声をかけてみます。それは、何年もレッスンにお金をかけて結局フルートを吹けるようにならなかったら、可哀想だし時間も勿体無いと思うからです。

ソフィアの場合は、間に入って紹介してくれた方がいたので、半年間苦戦した後、彼女の方に打診してみました。というのは、ソフィアのお母さんもドイツ語があまりできないようだったからです。

その方から聞いた話に私は耳を疑いました。このほとんど喋らない女の子の知能指数は、彼女が通っている学校始まって以来の高得点であったこと。中でも数学の才能がずば抜けていること。なんととんでもない天才児だったらしいのです。

そして喋らないのはドイツ語だけでなく、母国語のポーランド語にも言語障害があるとのこと。学校には友達がほとんどいないと言うこと。「あの子は喜んでレッスンに通ってるようだから、フルートというよりはセラピーだと思って続けてくれないか」

わかりました。グループレッスンのパートナーだった子がやめてしまって一人になったので、もうこうなったら徹底的にソフィアのペースでやっていこうと腹をくくりました。

2021年のクリスマス前のことです。ソフィアは自分の五線紙のノートに、何やらメロディーを書き留めてやってきました。

「ポーランドのクリスマスソングなの」と言ってポーランド語で唐突に歌い出します。その歌声を聴いて鳥肌が立ちました。聴いたことのないような、珍しい、不思議な声だったからです。まるでこの世のひとの声ではないような気がしました。

それ以後ソフィアは堰を切ったかのようにフルートが上達して行きました。インターネットで自分で吹きたい曲を探して来るようにもなりました。おもしろいのが、日本のアニメの主題歌を日本語で歌ってくれるのです。聴いたままに歌うなんちゃって日本語なのですが、確かに日本語です。最近流行っているような歌なので、残念ながら一緒に歌うことができません。

「ソフィア、あなたの声、私は物凄く特別だって思うんだけど」と言ったら笑ってました。カタコトのドイツ語で何かを伝えようとしてきますが、多分半分も伝わっては来ません。でも彼女が心を許してくれてるのはわかります。この子がフルートのレッスンに来ている間は、安心です。

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