もすごく嫌な生徒さんが居ました。(70代前半、女性)
年齢のこととか才能ゼロの事とかは正直全く気になりませんでしたが、とにかく「かまってちゃん」性質、「私って可哀想」的な愚痴が激しくて、30分のレッスンの後もうクタクタになる程のエネルギーバンパイヤな人でした。

「上手くなりたい」という割には人の話は聞かないし、とにかく難しい曲を吹きたがる。今日も「もう限界だ。どうしたらこの人が私の人生から消えてくれるんだろう」とぼんやりと考えていたレッスン中の3分後、なんとその希望が現実化してしまったのです。
「もっと一つの曲を長い間しっかりと練習してちゃんと上手く吹けるようになりたい。先生にはもっと色々言って欲しい。」というので、「(基礎がないし、それを身につけようというこらえ性もなければリズム感もなし、ということを前提として) でも私としては楽しんでやってもらえれば良いと思うんですけど?」と返事をすると「全くわかってらっしゃらないんですね!!私はこんなに歳をとってから始めて、若い人にはかなわないんです!」節がまた始まったので、思わず「歳のことなんて関係ありませんよ!どうしてレッスンに来て毎回毎回弱音泣き言恨みつらみ、まるで私のところは感情のゴミ捨て場だとおもっているんですか?私のところだったらいくら愚痴っても許されると思っているんですか!?」と、つい本音が。
いつも綺麗な身なりをしている彼女は怒って泣いていました。「そうですか、そういう事ならば、もう来ません。」と言って、楽器をしまって帰って行きました。
似たようなことが今までの人生で無かったわけではありません。家族にしろ友人にしろ大抵は女性で「どうしてわかってくれないの」「あんたは冷たい」とか言われるのですが、自分の感情をコントロールできずに垂れ流しにしている方が問題だと思っていました。
ただ、少しでも感情的になる人たちに対して嫌悪感を抱くと言うことは、自分自身を素直に表現できないというコンプレックスの裏側なのでしょう。正直そう言う女の人達を羨ましいと思うことは多々あります。でも可愛いと思うことはできても、自分から感情の沼にズブズブと入ってはいけないのです。もし間違って入ったら、私の場合すぐにくたばるでしょう。
この生徒さんには可哀想ですが、今日は本音を言う事で、自分で押し殺していた願いを実現させてしまうと言う体験をしました。ある意味自分自身に感情を許してあげることが出来たからです。彼女が辞めたことで私の給料は減るものの、自分の為には本当に良かった、ということなのでした。